WEB版GRANJAPON PRESS~9月15日号~

 

グランジャポンスタッフがスペインにまつわるあれこれをお伝えするコラムコーナー。
テ・コンミエルを飲みながらのリラックスタイムのお供にいかがでしょう?

MasaのSpain is different Vol.7

【ピカレスク小説】

 

今回は私が一番興味深く思う、スペイン人誰もが共感する、「ピカレスク小説」について話したいと思います。
「ピカレスク小説」とはスペイン国民に大きな影響を与えた世界に誇る、スペイン文学独自の形式の一つです。

「ピカレスク」とは「ピカロ」が語源で、「ならず者」という意味ですが、ピカロとはただの悪人ではありません。
当時のスペイン社会に見放され、懸命に生きようとする庶民のことを示しています。

16世紀まではスペイン文学では騎士道小説が広く普及し、国民は「いつかは騎士になりたい」と夢を見て、生活していた。
理想主義的、楽園主義的文学が人気は当時のスペイン黄金の世紀を表していた。
しかしながら、その繁栄も足元の産業や経済の基盤を弱く、直ぐに崩れ落ちた。
騎士道小説はもう共感できない現実逃避にしか過ぎなかった。

スペインは希望を失い、夢を持つのもあきらめ、今の現状を自らあざ笑って皮肉とユーモアを求め、
セルバンテスの「ドン・キホーテ」を最後の騎士道小説に、「ピカレスク小説」が生まれた。
主な話の流れは、高貴な血筋の生まれではない主人公が、
冒険という非日常ではなく現実という日常を舞台に生きるための闘いを繰り広げ、
繁栄の中で当時多くの社会的矛盾を持つスペインを批判的なまなざしで記しています。





代表作は「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」(写真)と「ぺてん師ドン・パブロスの生涯」

お時間があるとき、是非お読みください!
これぞスペイン文学のレベルの高さです。